2010年4月27日火曜日

株式分割と新株式発行

この小難しい話もなんとかM&Aまで持って行きたいと考えていたり。香港の会社がどうなのかは知らないけど、こっちのインタビューは結構知識を問うようなことを聞かれたりすることが多いらしいので。特に専攻とどんぴしゃだからなー。

前回は引き出したりする方を考えましたが、今回は増やす方を。ということで株式分割と新株式発行について。まずは、株式分割から。これは例えば「今の1株を2株に分割します」という単純な話。これは株主資本価値を上げる?下げる?変えない?





正解は変えない。ただ、株式を分割しただけなので。もちろん一株の価値は1株→2株にしたら半分になってしまいます。(冒頭で増やす方と言いつつ、実は価値は増えてない笑)

じゃあ、何のためにするのか。一般的には流動性を高めるためと言う意味合いが強いようです。一昔前は分割すると株価が上昇すると言う株式分割バブルなんてのもあったそうですが。あとは市場が株式分割の手続きに時間がかかった頃、ライブドアが発行が追いつかないくらい分割しまくって、(不正に?)高値になるように仕掛けていたなーんてことも。

次は新株式発行。公募したり、第三者を指定したりして、新しい株式を売りに出します。これは株式資本価値を上げる?下げる?変えない?





正解は上げる。現時点での一株の価値は、新株式の株価と等しければ変わりません。もし、新株式の株価がその価値を上回る場合は、新株主は損をし、既存株主が得をします。そして、その分一株の価値は上がります。逆に、下回る場合は新株主は得をし、既存株主は損をして、一株の価値は下がります。その後は、再投資と同じで、投資が資本コスト(割引率)を上回るか、下回るかで株主資本価値は変わってきます。これは、また銀行に例えると、新株式発行は新規株主が企業と言うちょっと変わった銀行に新しい銀行口座を作って、預け入れを始めることです。


さて、実は2つのことを無視して、これまで話をしてきました。気づきましたか?

一つは「分割や新株式発行にかかるコスト」です。分割や発行そのもののコストに加えて、名簿管理や株主総会の案内やらかかるコストがたくさんあります。これらは将来のフリーキャッシュフローを圧迫し、少なからず株主資本価値を毀損してしまいます。

もう一つは「議決権」です。株式はキャッシュをもらう優先権が一番低いため、企業の重要なことを決める議決権を持っていることが一般的です。分割では関係ありませんが、新株式発行では旧株式の議決権が希薄化してしまいます。これをDCFで説明しようとすると、(有利子負債があると仮定した場合)新株発行により、有利子負債に対する株主資本の割合が増加したために、全体の資本コストが増加し、例え一株の価値と株価が等しい場合でも、株主資本価値及び一株の価値は減少してしまうということになるかと思います。

逆に自社株買いでは、一部の株主が議決権を手放す形になるため、保有し続ける株主がより多くの議決権を得ることになります。これも同じようにDCFを使うと、有利子負債に対する株主資本が減少したために、全体の資本コストが減少し、例え一株の価値と株価が等しい場合でも、株主資本価値及び一株の価値は上昇することになるかと思います。もちろん自社株買いの場合には、一部の株主が全額引き出しをしているので、全体としては株主資本価値はマイナスになることが多いと思います。

このように厳密に考えるとちょっと変わってきます。ちょっと細かすぎ!?

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