南京虫(トコジラミ)対策にケンコーコムからバルサンやゴキジェットとかを購入しようとしたら、国の医薬品ネット販売規制で、第二医薬品は過去に購入履歴があるか、離島に住んでないと購入できないとのこと。話には聞いていたけど、ほんとどうしようもない政策ですね。派遣労働者も貸金業者のときもそうだったけど、いつも表面ばかり規制をすればいいと思ってる。消費者からすると店舗で買おうが、ネットで買おうがなんら変わらないし。安全性を問題にするんだったら、販売者の体制や商品そのもののをチェックすべきでしょう。ってかゴキジェットのどこに安全性の問題があるんだ!?規制についてはケンコーコムのページがあるので。
さて、話は続いて割引率の話。DCFによる企業価値算出では将来のFCFを求めた後、割引率を使って割り引きます。なぜ割り引くんでしょう?これを考えるために一つ問題。
今のあなたには2つの選択できる権利があるとします。ひとつは今100万円をもらう権利。もうひとつは1年後に100万円をもらう権利。あなたはどちらを選択しますか?
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おそらく多くの人が「今100万円をもらう権利」を選択したはず。なぜでしょう?考えられる理由は「1年後に100万円をもらえるか怪しいから」とか「今100万円をもらえば自由に使ったり、運用したりすることができるから」とか。ここから言えるのは「現在の100万円」と「将来の100万円」は多くの人にとって価値が違うということ。
なぜ価値が違うのか?それは上に書いた理由から。一つはリスク。1年後に100万円が本当にもらえるかなんてわかりません。その相手(個人、会社、国)がどういう状況になるかは誰にも予想できない。そういった不確実性を含んでいるため、一般的に、同じ金額であれば早めに確定したいと思うはず。
もう一つはリターン。今100万円もらえば、仮に超低金利をまだ続けている日本の預金でも100万円以上にはなる。ちなみに今日のMUFGの定期で0.06%。1年でわずか600円だけどorz。俺は株式投資で儲けることができるぜーという人であれば、もっと良いリターンで運用したいと思うはず。
他にも、インフレリスクというもので、今日本ではデフレといわれているけど、もしインフレだったら自然と貨幣の価値が目減りしていってしまうため、1年後の100万円は今の100万円より価値が低くなる。逆に負のリスクもある。100万円が何らかの形で盗まれてしまう可能性が高く、かつこの1年で消費する予定がない場合は、もしかしたら1年後にもらった方が得かもしれない。と色々あったりする。
というわけで、1年後の100万円の価値を考える場合、これらのリスクやリターンを考慮して割り引く必要がある。でも実は、このリスクとリターンは表裏一体だったりする。ある人からみて「これだけのリスクがあるなら、リターンはこれぐらいほしいな」というリスクに対して要求するリターンは1:1に定まる。もちろん完全市場でない場合、「客観的に」同じリターンでも異なるリスクの商品なんてのはごろごろ転がってはいるけど、「ある人」の持っている情報や判断は限られているため「主観的に」1:1に対応させることができる。
ちなみに効率的なマーケットであれば、全ての商品のリスクとリターンは客観的にも1:1に定まる。仮にハイリスクローリターンな商品が一時的にあったとしても、そんな商品みんな買いたくないので価格が下がり、結果としてリターンが向上する。なぜならリターンは収益÷価格だから。逆もしかり。ローリスクハイリターンな商品があれば、みんなか買いたいので価格が上がり、結果としてローリターンになってしまう。つまり、リスクに見合ったリターンを持つ商品しか存在しなくなる。言い換えると、おいしい話には必ず裏があるというわけ。
そんなこんなで下のような関係式が導き出せる。(ちなみにリスクはファイナンスではStandard Diviationとするので正確にはイコールではないです。イメージで理解してください。)
割引率
=資本提供者が認識するリスク
=資本提供者が期待するリターン
1年後の100万円であれば、資本提供者が「結構リスクあるな。これだと15%ぐらいのリターンは欲しいな」と考えれば、その価値は100万円÷1.15=87万円になり、「リスクは低そうだ。これだと5%ぐらいで十分だ」と考えれば、その価値は100万円÷1.05=95万円になる。つまり、ローリスクローリターンの方が、割引率が低くなり、将来のキャッシュフローが同じであれば価値は高くなる。
こないだのDCFで使った例をもう一度考えてみる。
この例では割引率を10%としていた。これを見てわかると思うけど「1年後のFCFの100万円のリスクはこれぐらいで、リターンは1.1^1(1乗)欲しいから、今の価値は91万円。2年後のFCFの100万円のリスクは・・・」を繰り返して、総和を取っているに過ぎない。つまり、企業価値とは資金提供者が要求するリターン(=割引率)が達成されると仮定した場合、将来のキャッシュフローを実現するために必要な現在の投資金額を表している。今までの話と同じように、資金提供者がリスクが高いと考え、要求するリターンを上げれば、割引率も高くなるため、企業価値は減少する。
ちょっと話がずれて、よく新聞で「金利上昇により債券価格が下落」なんて記事を見たりしませんか。自分は最初何を言ってんだかわかりませんでした。金利が上昇したらたくさん利息もらえるからむしろ上がるじゃないかって。実は、一般的には債券の利息(クーポン)は固定で、インフレリスクや国や企業の破綻リスクを考慮している金利が上がったため、その金利で割り引いた債券は価値が下がるというわけです。仕組みは全く一緒。
最後に一つ言い忘れたこと。前に書いたけど、割引率にはWACCという企業の資本構成からとマーケットと株価の関係から導き出された指標を使うのが一般的みたい。なぜなら客観性が比較的高いから。とは言えども、マーケットは効率的ではなく、マーケットと株価の関係も日々変化してしまうため、完全ではないのが実際。企業価値算出にあたり、将来のFCFの予測と割引率の算出はこれが正解!というなく、これらをどう求めるかが肝と言えます。
次回はどうやったら企業価値を向上させられるかについて。
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