2009年12月2日水曜日

アービトラージ

今日まで課題にかなりの時間を使った反動か、16時に課題を提出した後から腑抜け状態に。明日までにやらなければいけないことがあるのにー。と言ってもやる気がないときはどうしようもないので、気分転換にブログを書こうかと。

もうすぐ授業が始まって2ヶ月が経つけど、ファイナンスで一番重要な概念は何か?と今問われれば「アービトラージ(裁定取引)」と答えると思う。ファイナンスは「アービトラージ機会をいかに見つけるか」という取り組みと言っても過言ではないかもしれない。

アービトラージは厳密な定義だと
・コストなしで買い、売るとプラスのリターンを得る可能性がある(かつマイナスはない)
・買うときにすでにプラスが確定し、売るときにプラスマイナスゼロ
の2種類がある。

うーん、自分で書いていても何を言ってるかわからん。もう少し具体的にすると、市場価格と適正価格に乖離があるとき、リスクなしでリターンを手に入れられてしまうというすばらしい取引。

ふと思う。そんなおいしい機会がそんなに転がってるものなのか?もしあったらみんな大金持ちじゃん!?答えは「実際の市場には多少ある」かな。

わかりやすいのは市場間の価格差。例えばTOYOTAの株価がTOKYOでは3,650円だけど、NYでは5,000円なんて状況。もちろん市場は違えど、取引されている株は同じ。ということはTOYOTAの適正な株価が3,650~5,000円にあって、TOKYOでは割安に、NYでは割高に評価されていると考えることができる。なのでTOKYOでは買って、NYでは空売りする。そうすると適正な株価になったときに利益を得られる。

実際の市場ではそんな状況になっていることはまずない。なぜならみんな同じようなことを考えて利益を得ようとするから、市場間の価格差はあっというまになくなってしまう。これを「効率的な市場」と言ったりする。でも、企業が業績を修正したり、中央銀行が金利を変更したりなどの動きがあったときに、適正価格が変動して、そんな機会が一時的に発生することがある。それ誰よりも早く取りに行けば利益を上げることができる。

他にも、同じ価格の金融商品が異なるリターンを示していれば、みんなその差を取りに来る。結局、オプションやフューチャー、債券などの多くの金融商品はアービトラージ機会がなくなるような価格、つまり適正と思われる価格が基本になって取引されている。やり方はもう少し複雑だけど。

ここまでで大きな前提に気づかれただろうか。そう、アービトラージ機会は適正価格がわかっていることが大前提となっている。そして適正価格が実際に存在するためには市場が効率的でなくてはならない。金融市場の効率性に関してはITの普及などにより高まっていると思う。というわけで「アービトラージ機会をいかに見つけるか」は「適正価格をいかにして見つけるか」という問題に言い換えることができる。実際、適正価格を求める理論や手法が多く存在するが、人間の心理などの様々な影響で現実の価格の動きとはなかなか合致しなかったりする。ここを解決しようとすることがファイナンスの醍醐味だと思う。

さらに面白いと思うのは、この考え方を金融市場だけではなくて実体経済にも当てはめようとすること。これをリアルオプションなんて言ったりする。例えば、タイで売っているジャケットが日本で売るとより高い価格で売れたりなんてのはこれ。もう少し一般化すると、NPVも実体経済におけるアービトラージ探しの手法と考えることもできる。ただ、金融市場と異なり、取引方法が非常に限られる、利益回収までに時間がかかる、言語や文化の違いの存在などで効率的とはとても言えないし、適正価格も金融商品よりも多くの影響を受けるため求めることが困難。逆に言えば、実体経済では金融市場よりもアービトラージ機会がたくさんある可能性が高いとも言える。

アービトラージは「リソースの再配分により、すでに存在する市場価格と適正価格との差を取ることで利益を得る取引手法」と言える。将来、自分がやりたいのは(見方の問題かもしれないけど)、アービトラージ機会を生み出す、つまり差を取るのではなく、適正価格を定義し直して差を創り出す、そんな事業がやりたい。


やばっ、めっちゃ時間が経ってしまった。

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