2010年1月24日日曜日

日本のサービス

Stanford MBAの学生のブログを読んでいて、元学長の日本の印象について話している場面が載っていた。そこで「日本のサービス産業は、世界のレベルと比べて低いよね。」と書かれていた。

サービスの何を持ってレベルとするかは難しいところだけど、日本のサービスはレベルが低いのかな。英国では非常に限られたBtoCのサービスしか知らないので、これまた比較が難しいんだけど下記の4つで考えてみる。

・正確性
これは圧倒的に日本が優れていると思う。こっちはおつりを間違えるし、郵便物が届かない、空港で荷物が迷子になるなどごく頻繁に発生するらしいし。

・時間
これも日本だと思う。レジでたくさんの人が並んでいても全然気にしないし、飲食店でも待たされる時間はこっちの方が圧倒的に長い。良く友達と「こっちの人たちは並んだり待ったりするのが好きだよね」などと冗談で言っている。

・接客やサポートの仕方
これはなかなか難しい。人間味という面ではこっちに軍配が上がるかもしれない。レジだろうがなんだろうがHi!と挨拶するし、わからないことを尋ねるとみんな親切。パブとかでも気軽に話ができるなんてのは、日本だとなかなかできない。でも、こないだ運送会社のサポートを受けたけど、回答がテンプレートだったり、部署間の受け渡しが非効率だったりってのは日本とあまり変わらない。ひどい話だと、こっちの弁護士は顧客を騙してお金を巻き上げようとするとか・・・もちろん日本でもいるだろうけど。

・コスト
決してこっちのコストは安いとはいえない。けど、基本的に日本に比べて市場原理が働いているので適切な価格が設定されているのかなと思う。日本の場合は、寡占市場の航空会社の国内線なんかはめっちゃ高い価格設定だし、ガラパゴス携帯のキャリアはコストがまだまだ高すぎると思う。

BtoBはわからないけど、金融サービスなんてのはまさに日本は遅れをとってしまっているし、コンサルティングなんてのも戦略系は外資系ばかり。あと、決定的な違いはこっちのサービスのファーストクラス、スタンダードクラスなどのグレード付けは内容とコストの面で大きな差をつけている。日本では普通車やグリーン車などはそんなに差はないし、医療サービスでも画一的な価格設定とクオリティ。

まとめると、基本的なサービスレベルに関しては日本のほうが勝っていると思う。+αのアドリブであったり、何かを提案したりなんてのはこっちの方が上。画一的ではなく、細かくセグメントを分けてニーズを満たそうとするマーケティングの王道的なやり方はこっちのほうがうまいのかな。日本だと出る杭は・・・の精神があるからやりづらいのかも。

結論は、提供側が大切にしているサービスの質がそもそも違い、その裏を返すと消費者が求めているものも違うのだと思う。正確性や時間に関しては正直こちらの人たちが真似できるとは思えないので、日本がやり方をうまく現地の消費者にアレンジできれば、十分海外で通用するサービスを提供できるチャンスはあると思う。

そういえばすっかり英国慣れした台湾人がUNIQLOのオペレーション速さには驚いていたなー。

4 件のコメント:

  1. ひさしぶり!元気?
    そうそう。ちょうど日本のサービス業について聞きたかったんだ。ネットで日本は製造業ばかり重視してサービス業を軽視しているっていう内容のコラムを読んだんだけど、実際どうなの?って。
    ちょうど書いてるじゃん(笑)さすが。
    読んでみてやっぱりな〜って感じだね。早くて正確な日本人!
    でも、気になったところは、元学長のいう"サービスのレベル"って何なんなのかということ。早さや正確さなのか…
    バリバリの製造業で働いてると最近心配でね。日本と欧米ではそもそも意識が違うんじゃないかなと。"携帯電話"を売るだけの日本のメーカーと"携帯情報端末を使った生活"を提供するApple。エンジンを売り、オーバーホールで帰ってきたら修理・交換するだけの日本のメーカーと、搭載中からエンジンモニタリングして修理・交換時期を管理しようとしているGE。"お金"を貸すだけの銀行と"貸したお金で事業をさせて儲けさせる"金融業。
    まあ自分は日本の中からイメージしてるだけだから"意識が違う"なんて言う曖昧な言い方しかできない…また何か気がついたことがあったら教えてくださいな。
    就活がんばれ!

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  2. >こし
    おひさっ。めっちゃ遅くまで起きてるね。

    まさに「サービス」の定義だと思う。決まりきったマニュアル化された役務をサービスとするのであれば、日本が明らかに勝っていると思う。何かを新しいアイデアを提案したり、問題を解決したりするのをサービスとするのであればこっちの人のほうが勝っているのかもしれない・・・というかビジネスの勢力図を見る限りだと負けている。

    日本の製造業は今後、製品そのものだけでは競争力を保つのは非常に難しいだろうから「自分たちはアイデアや問題解決というサービスを提供していて、製品はその手段に過ぎない」ぐらいの感覚がいいのかもね。

    にしても、実際こっちの電化製品はひどいけどね。掃除機とか何十年も前のではないかと疑いたくなるくらい。全然吸引力がないわ、スイッチは手元ではなく、本体の方にあるし。もったいないよ、日本。やり方を少し変えれば絶対もっとうまくできると思う。

    就活がんばるよー。全然企業から返事来ないけど。諦めずにがんばりまーす。

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  3. 昨日は遅くまでいろいろ考えててね〜さすがに遅すぎたけど…
    掃除機か。これは勝手な推測だけど、日本では良い掃除機を買うような層の人たちは、そっちでは掃除サービスを使ってたりして。そうであれば掃除機を買って使う人は良い掃除機を買う余裕がない人と、仕事で使う人が多いのでは?
    掃除機を提供するか。掃除を提供するか。

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  4. >こし
    もちろん所得格差は日本よりも大きいだろうけど、とはいえほとんどが掃除サービスを利用しない層でしょう。それに掃除機はそこまで高いものではないだろうし、日本で売ってる10,000円ぐらいの掃除機でも十分勝ってると思う。個人的には、需要に問題があるというよりも、提供側に問題がある気がするな。

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