香港に行って知った事実。正直、行く前までは結構多いのかと思っていた。今回の就活のキーワードになる問題だと思うので、ちょっと深掘りしたい。久々にロジックツリーを使って分解してみる。
なぜ日系中小企業のアジア企業に対するM&Aが少ないのか?
- アジアに魅力がない
+ アジアそのものに魅力がない
- 全体の問題
+ 安全性の問題
+ 商習慣の相違
+ 規制や税制
+ 知的財産の管理
+ 急激な為替変動
+ 輸送コストの上昇
+ 資産コストの上昇
- 生産特有の問題
+ 労働コストの上昇
+ 品質維持が困難
- 買い付け特有の問題
+ 製品の低品質
+ 製品価格の上昇
- 販売特有の問題
+ 平均所得の低さ
+ 嗜好の相違
+ 市場の競争激化
+ 他地域の方がより魅力的
- アフリカ
- 南アメリカ
- ロシアと東欧
- 日本!?
- アジアに魅力はある
+ リソースがない
- 情報
+ 公開されている
- 言語の問題
- 取得コストが高い
- 情報が正確ではない
+ 公開されていない
- 調査会社や機関が少ない
- 公開が規制されている
- 人材
+ いる
- 獲得コストが高い
- 平均給与が高い
+ いない
- 数が少ない
- 能力が不十分
- 価値観の相違
- 就労ビザの問題
- お金
+ 市場にあるが資本コストの増加
- 金利上昇
- 投資家の極度のリスク回避思考
- 投資家の誤った価値算出
- 為替リスク
- ビジネスそのものが脆弱
+ 市場にない
- 金融引き締め
- 金融市場の未発達
+ リソースを活かすナレッジがない
- 経営者の能力不足
- コンサルタントの能力不足
+ 経営戦略
+ マーケティング
+ 財務会計
+ リスクマネジメント
+ オペレーション戦略
+ IT
+ HRマネジメント
- 基本的なナレッジはあるが通用しない
+ 現地とのコネクションがない
- コネクションを作る機会が少ない
- 商習慣の相違
- 両者の利害の不一致
- 歴史的な背景から作ることが困難
+ 実行する勇気がない
+ M&A以外の選択肢(JV、提携、独資など)が効果的
という感じかな。前半のアジアが魅力があるかないかについては、様々な問題があるけれども、日系の中小企業にとって魅力的だと思う。ただし、中国に関して言えば今後は消費の場として。中国国家統計局が今月11日に出した統計だと4月の主要70都市の不動産販売価格は12.8%上昇、CPIは2.8%上昇した。この流れは労働コストを始めする生産コストを上昇させて、生産の場としての魅力を減少させている。現に、中国に工場を作ったものの撤退するケースが増えているらしい。というわけで、今後は消費の場としてみるほうが妥当だと思う。
リソースの部分については足りていないものが多いと思う。まずは情報。入ってくる情報量もそうだし、言語の壁もだし。だから、「昔、大手商社で○○国担当でした」と言う人たちが独立をして、コンサルティングをしたり、全国に講演に行ったりしているのだろう。次に人材についてもかなり難しいみたい。かなり古い資料になるけど、現地社員の教育に関する問題が非常に高い。これは結果的にコストにつながってしまう。最後にお金については、これだけの金融緩和をやっているので借入はしやすいはず。あとはビジネスそのものとのバランスだろうか。
そして気になるのが、その次のリソースを活かすナレッジ。例えば、もし中国を消費の場と捉えた場合、これまでのマーケティングはそのまま使うことは難しいと思う。となると、しっかりとしたナレッジを持った上で、市場を観察し、新たな戦略を立てなければいけない。HRマネジメントについてもそう。日本人とは異なる文化を持っている人たちとどううまくやっていくかを考える必要がある。よくある中国コンサルタントと言われる人たちは(勝手に想像するに)中国には詳しい人は多いかもしれないけど、こういうところまでコンサルティングできる人はどれくらいいるのかはちょっと疑問。(もちろん必要だけれど)M&Aを仲介できます、提携先を紹介できますだけでは、クライアントのビジネスがうまくいくとは思えないかな。
コネクションについてはビジネスが未発達な地域では重要。特に中国でビジネスをするにはとても大切だと言うことをよく耳にする。これは・・・うまくネットワークを活用して、少しずつ広げていくしかないんだと思う。そして最後にM&A以外の選択肢。これらが有効な可能性は十分にある。ファイナンスの論文ではM&Aよりも、JVや提携の方が効果的だという結果を証明しているものもあったり。ただ、これらはビジネスモデルにもよるものだろうし。
という感じで、いろいろ面白いことはできそうな気がする。
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久々です。いつも更新楽しみにしてます。勉強になります。 このロジックツリーすごいですな。なかなかこんなにすぐにはファクターを思いつきません。まあ日系企業はリスクをとりませんからね。 まずはallianceやlisencing から入るのではないでしょうか?? ちなみにアジア以外の日系企業によるM&Aは多いのでしょうか?もともと日系中小企業のM&A自体少ないのでは??
返信削除今度、試験終わったら(28日で終わる予定)ロンドンいきたいと思ってます。 ぜひ一回くらい機会があれば飲みたいですね。
では
お久
返信削除もう少し一般人にもわかりやすい文章にしてくれると読みやすいです。
適当にこう書いてくれたらわかりやすいなと思う要望を書きます。
①お題の補足がほしい。
takaさんのコメントにもありますが、
今回のお題である。「なぜ日系中小企業のアジア企業に対するM&Aが少ないのか?」
に対して以下の2点が一般人には自明のことではないためそこから先が意味のわからない世界になります。
1.世界各極へのM&Aに比べ、アジア企業へのそれが少ない
2.大手企業のアジアM&Aと比較して、中小M&Aが少ない
②M&Aの目的を限定してほしい(せめて分類して欲しい)
・誰が買いたいのか【1次産業、2次産業、3次産業】
・何を買いたいのか【モノ(販売網、生産能力等)、情報(技術、文化等)】
西ちゃんの文章を見る限り、販売網整備及びマーケティングのためをM&Aを目的にしているようにも見えますが限定はされていません。出来ればある視点で限定してもらえるとわかりやすいです。
③説得力が欲しい
正直なところ、上で出したロジックツリーとその後のコメントのつながりがわかりません。ですので、下のコメントが感想文にしか見えないです。
基本的に西ちゃんが自らの考え方を記録するためにブログを使っているのはわかっていますがもう少し整理してもらえるとありがたいです。
個人的には、
ある視点、切り口に立ってアジアM&Aに寄与する重要なファクターを何個か抜き出し、その仮説があっているかを簡単に検証する。見たいな方がみていて楽しいし、勉強になります。
ではでは
お久
返信削除もう少し一般人にもわかりやすい文章にしてくれると読みやすいです。
適当にこう書いてくれたらわかりやすいなと思う要望を書きます。
①お題の補足がほしい。
takaさんのコメントにもありますが、
今回のお題である。「なぜ日系中小企業のアジア企業に対するM&Aが少ないのか?」
に対して以下の2点が一般人には自明のことではないためそこから先が意味のわからない世界になります。
1.世界各極へのM&Aに比べ、アジア企業へのそれが少ない
2.大手企業のアジアM&Aと比較して、中小M&Aが少ない
②M&Aの目的を限定してほしい(せめて分類して欲しい)
・誰が買いたいのか【1次産業、2次産業、3次産業】
・何を買いたいのか【モノ(販売網、生産能力等)、情報(技術、文化等)】
西ちゃんの文章を見る限り、販売網整備及びマーケティングのためをM&Aを目的にしているようにも見えますが限定はされていません。出来ればある視点で限定してもらえるとわかりやすいです。
③説得力が欲しい
正直なところ、上で出したロジックツリーとその後のコメントのつながりがわかりません。ですので、下のコメントが感想文にしか見えないです。
基本的に西ちゃんが自らの考え方を記録するためにブログを使っているのはわかっていますがもう少し整理してもらえるとありがたいです。
個人的には、
ある視点、切り口に立ってアジアM&Aに寄与する重要なファクターを何個か抜き出し、その仮説があっているかを簡単に検証する。見たいな方がみていて楽しいし、勉強になります。
ではでは
お二人ともコメントありがとうございます。読者を意識しないと、どんどん自分勝手な備忘録になってしまいますので笑
返信削除>takaさん
海外への進出形態では、 平成20年度の中小企業海外事業活動実態調査によると44.9%がM&AやJVなどの直接投資を実施していると回答しています。また、(直接投資していない企業を含めた)進出国については中国が67.3%、タイが16.6%とアジアが大多数を占め、米国は15.1%、西欧は7.5%となっています。最後に、中小企業のM&Aの件数はいいデータが見つからなかったのですが、代わりに日系の非上場企業が関わったM&Aの件数は2008年時点で1687件で、実は日本全体のM&Aの70.3%を占めています。ちなみにM&Aを行う理由は新規事業や事業整理の他に、後継者問題というのが大多数を占めていると言われています。
おおっ、テストがんばってくださいね。僕の方がもう次のタームが始まりました。ロンドン来るとき連絡をください。ぜひ飲みに行きましょう!
>仁
幸せものというウワサの人からコメントをいただけるとは恐縮です笑。
>>①お題の補足がほしい。
確かに共有している前提が違いすぎて、いきなり飛んだところからスタートしてしまった感があるね。気をつけます。挙げてもらった1.と2.についてはおいおい書いていくよー。
>>②M&Aの目的を限定してほしい
今回は特定の業種と言うよりも全体について考えたつもり。M&Aに対するメリット・デメリットの性質が大きく異なるのであれば、業種ごとに分解したほうが必要な要素の漏れがなくなり、より正確になるね。ただ、今回みたいに具体的な事業を意識しないで漠然と考えるのはよくないな。参考にします。
>>③説得力が欲しい
これはその通り。今回はロジックツリーを作って力尽きました笑。ファクト探しは実は結構大変なので、時間とモチベーションが問題です。なんとか期待に応えられるようにがんばります。
返信有難う。んってことは対アジアへ中小企業によるM&Aは多いってこと??
返信削除あと試験28日に残り一つです。頑張ります。こっちは最後のセメスターはonly dissertation になります。
では行くとき連絡します!!
お久しぶり。
返信削除なかなか興味深い考察だね。
メーカー(敢えて言うとリコー)の社員の視点で言えば、「アジアそのものに魅力がない:①規制や税制、②商習慣の相違」が当てはまると思う。
①については、特にアジア最大の市場である中国。自動車業界のニュースでもそうだけど、合弁会社でないと販売できないといった規制が多い。
②については、シンガポールやタイかな。商慣習だけでなく、安全性や相乗効果が得られにくい点、リソースを活かすナレッジがない点もあると思う。
うちの会社は、欧米の代理店(日本でいう大塚商会)を90年代・2000年代に買収を続けて、成長してきたのだけど、アジアはなかなか無い。そもそもアジアにある大手企業はグローバルに活躍している企業だから、日欧米で既に販売コネクションを築けているのだろう。それ以外のアジアの中小企業は代理店に任せてOKのスタンスだと思う。
他の会社だと、ダイキンはアジアでの買収話も聞くよ。熱帯のエアコンサービスは特有の技術が必要で、その技術が貴重なのかも知れない。
全然話は変わるけど、円高ポンド安の恩恵はしっかり受けてるかな?メーカー社員としては円高ユーロ安が厳し~い。
すみません、レスが遅くなってしまいました。
返信削除>takaさん
テストお疲れさまです。最後のテストはどうでしたか?
対アジアへ中小企業によるM&Aは少ないです。今度まとめて情報提供しますね。
連絡待ってます!ただ、来週はめずらしく予定が立て込んでます。木曜日以外はちょっと厳しいですので、再来週以降がありがたいです。
>セオさん
ご無沙汰してます。
情報ありがとうございます。漠然とアジアの成長のニュースばかりを見ているとメリットばかりが目に映りますが、実際の業務ベースになるとやはりまだまだデメリットの部分が大きいんですね。
ちなみに円高の影響はほとんどないです泣。授業料も入学直前に一括でしたので・・・。それにしてもユーロはなかなか大変ですね。財政政策だけを独立させたまま、金融政策を統一するというアンバランスな状態が、ここに来て悲鳴を上げてるように見えます。いくらドイツやIMFが融資をしたところで、各国が財政規律を守らずにモラルハザードを起こすような状態であれば、解決はなかなか難しいように思います。なんとか復活してもらいたいですね!